遺留分減殺請求するには
遺留分減殺請求とは、遺言や生前贈与によって侵害された遺留分について、請求することを言います。
一定の相続人には、承継されるべき最低限の割合があり、例えば、被相続人が遺言や生前贈与で、全財産を特定の子供だけに譲るとか、愛人に譲る、というような場合に、遺留分減殺請求を行うことができます。
- 相続財産の大半を他の兄弟に譲るという遺言が見つかった
- 被相続人が、生前に、愛人に大半の財産を贈与していた
- 被相続人が、面倒を見てくれた施設や団体に、全財産を寄付する遺言を残していた
このような場合は、弁護士にご相談ください。
遺留分を侵害されている場合は、それによって利益を得ている相続人や、相続人以外の受益者に、遺留分を減殺請求できます。
遺留分減殺請求の具体的な方法
まずは遺産の範囲を大雑把でもよいので把握して下さい。
そして、遺言により、あるいは生前贈与等で自分よりも多く貰うあるいは貰った相続人等がいないかを確認して下さい。
そして、この「他の相続人等が多く貰うあるいは貰った分」が自身の遺留分を侵害していないかを概算でもよいので確認して下さい。
仮にこのような相続人等がいたら、法律に則って、書面で遺留分の減殺請求を行います。
取り敢えず、「遺留分の減殺請求をします」という意思だけはっきりと伝わればよいので、遺産の範囲の正確な確定も、もちろん遺留分の具体的金額も、当初の減殺請求の時点では明確に確定させておかなくても大丈夫です。
但し、仮に当初の減殺請求の段階であっても、口頭で請求しただけでは、後になって、本当に請求したのかどうかという争いになる可能性があります。また、後で述べます期限内での請求だったのかについても疑義が出てはいけないので、最低限、弁護士に相談の上、内容証明郵便で行うことをお勧めします。
内容証明郵便であれば、内容を郵便局により保障してもらうことができると同時に、配達証明書により、相手方への到達とその日時を証明することもできます。
内容証明郵便で遺留分減殺請求を行っても相手方がこれに応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停の席上等で(もちろん調停の期日外でも)話し合うことが出来ます。
さらに、家庭裁判所の調停でも決着がつかなければ、遺留分減殺請求という民事訴訟を提起することになります。
遺留分減殺請求の注意点
遺留分減殺請求を行う場合、すんなりと相手方が応じてくれることは殆どありません。多くのケースでは調停なり裁判になります。
そもそも遺言書作成時から遺留分のことまで配慮して作成することは、まだまだ我が国の場合、浸透してはいないのが現実だからです。
従って、遺留分減殺請求を行う場合は、最初から弁護士に相談の上、訴訟などを見据えて対応されることをお勧めします。
なお、遺留分減殺請求は、請求権者が相続開始及び減殺すべき贈与や遺贈の事実を知ってから1年または相続開始時から10年以内に行わなければなりませんのでご注意ください(時効や除斥期間により請求できなくなります)。
特に、1年の方は、被相続人が亡くなってバタバタと過ごしているうちに、意外とあっと言う間に過ぎてしまいますので、十分に気を付けて下さい。