遺留分と遺留分減殺請求

遺留分侵害額請求とは

遺言に納得がいかない場合は遺留分侵害額請求ができる

配偶者や親が亡くなった場合、当然にその方の財産を相続できるものと思っていたら、「私の財産をすべて○○に相続させる」という遺言が残されていた。そんな場合、あなたは何も相続できないのでしょうか。

そんなことはありません。故人の配偶者や子などの直系卑属である場合や、親などの直系尊属である場合は、遺留分が認められ、その侵害額を請求することができます(民法1042条、1046条)。これを遺留分侵害額請求といい、金銭での清算を求めることが可能です。

遺留分侵害額としていくら請求できるのか

遺留分は、故人の財産のうち、法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)まで、兄弟姉妹以外の相続人に、金銭の支払を求めることができる相続する権利を与える制度です。いくつか例に上げてご説明します。

(1) 夫と私(妻)と長男の3人家族。夫が亡くなり「長男にすべて相続させる」との遺言あり。この場合の私(妻)の遺留分は-。

この場合は、妻の法定相続分は2分の1であり、遺留分はその2分の1ですので、相続財産全体の4分の1が遺留分となります。

(2) 夫と妻と兄弟2人(長男が私)の4人家族。夫が亡くなり「妻にすべて相続させる」との遺言あり。この場合の私(長男)の遺留分は-。

この場合、2人の子の法定相続分は2人で全体の2分の1であり、その2分の1が遺留分となります。2人兄弟だと長男の法定相続分が4分の1、遺留分はその2分の1で8分の1となります。

(3)遺留分減殺請求と何が違うのか

令和元年7月1日民法改正によって、遺留分減殺請求制度が遺留分侵害額請求制度へと改められました。もともと、遺留分減殺請求制度において、その請求をすれば、相続財産に不動産がある場合、遺留分の割合の所有権が遺留分権者に移転します。しかしそれでは、相続財産が複数の相続人間で共有状態となり、紛争が継続されることとなります。

そこで、遺留分の主張を金銭請求権に変更したのが、遺留分侵害額請求制度です。遺留分侵害額請求制度のもとで遺留分権者が遺留分侵害額請求をした場合、相続財産に不動産があったとしても不動産の所有権は移転せず、遺留分の金額の請求ができるに留まるので、その金額の支払を受けることができれば相続に係る家族間の紛争の早期解決が見込めることとなったのです。

遺留分侵害額請求をする手順

それでは実際に遺留分侵害額請求をするにはどのような手順を踏む必要があるのか、段階ごとにお伝えします。

(1)相続人同士での話し合い

相続は親族間の問題ですので、まずは話し合いから始め、円満な解決を目指しましょう。客観的な判断軸が欲しい場合や、他の相続人と交渉する必要がある場合は弁護士に相談することも可能です。合意が得られましたら、合意書を作成して支払いを受けましょう。

(2)内容証明郵便の送付

話し合いで合意が得られない場合は、訴訟を起こす必要があります。訴訟を提起する前には家庭裁判所に家事調停(遺留分侵害額の請求調停)を申し立てなければならない為、まずは話し合いの途中の場合でも内容証明郵便を送付して、遺留分侵害額請求権の消滅時効を延長することをお勧めします。延長された期間内で調停や訴訟の準備を進めることができるからです。

(3)遺留分侵害額請求の調停申し立て

遺留分に関する話し合いで他相続人から合意が得られない場合は、裁判所に遺留分侵害額請求の調停申し立てを行ないます。調停では、調停委員会に仲介してもらいながら相手と話し合いをすることができます。したがって、相続人同士のみで話し合いを行うよりも、話し合いがまとまりやすくなります。合意ができたら「調停」は成立となり、決まった内容の支払いを行なってもらいます。

(4)遺留分侵害額請求訴訟

調停を行なったにもかかわらず、話し合いがまとまらない場合は、遺留分侵害額請求訴訟を起こすことになります。訴訟によって遺留分侵害の事実を立証することが出来れば、裁判所が相手方に遺留分侵害額の支払い命令を出します。万が一、相手方が支払いに応じなかったとしても、その所有財産を差し押さえて、例えば競売して回収することも可能です。訴訟を起こすことになりましたら、証拠の集め方や訴訟の進め方を弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼するべきタイミング

上記にて、遺留分侵害額請求をするまでの流れをお伝えしましたが、弁護士に依頼するべきかどうか、判断しかねる方もいらっしゃるのではないでしょうか。弁護士に依頼したほうが良い状況の目安をご説明します。

遺留分侵害額請求の準備をする時間が無い、請求権の消滅時効に間に合いそうにない場合

遺留分侵害額請求をするために必要なことが多く、専門的な知識が必要になります。手順や要件を調べる十分な時間が取れない場合や、遺留分侵害額請求権の消滅時効が成立してしまいそうな場合は、専門家である弁護士に依頼しましょう。弁護士であれば迅速な解決を目指すことができます。

相手方とのコミュニケーションが取りづらい場合

理由は様々ですが、相手方とコミュニケーションが取りづらいことも、しばしばあります。弁護士は、相手方との示談交渉を代わって行うこともできますので、相手方と不仲・疎遠である場合には、弁護士を代理人とすることで、円滑なコミュニケーションを図ることが可能となります。

相続財産等の全体像がつかめない場合

遺留分額や遺留分侵害額の計算方法が分からなかったり、遺留分侵害額請求を行なう手順が分からない場合にも、弁護士へのご相談をお勧めします。遺留分侵害額請求を行なう際には、相続財産、生前の金銭の流れを把握する必要がありますので、正しい計算方法を熟知している弁護士にアドバイスを求めましょう。

弁護士に依頼することで、侵害されている遺留分を取り戻す確実性を上げたり、交渉時のストレス軽減、調停や訴訟への対応が可能となります。手続きをスムーズに進められるだけではなく、取り戻せる遺留分が増額するケースもございますので、もし、遺留分に関してお悩みでしたら、一度弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。

遺留分に関してお困りの際は当事務所まで

故人の相続財産がすべて現金であれば、遺留分の金額は、全相続人が把握でき、あなたの法定相続分さえわかれば、比較的簡単に算出することができます。しかし、故人の相続財産に土地や建物といった不動産がある場合、その適正な評価額がわからなければ具体的な遺留分の金額を知ることはできません。不動産の評価額を調べるには、不動産会社に査定をお願いしたり、公図や路線価図あるいは固定資産評価額等から実勢価格を算出したり…。不動産に詳しくないと難しそうです。

そんなとき、不動産に強い、弁護士法人タウン&シティ法律事務所にご相談ください。 不動産の適正な評価額を導き出し、全体の相続財産の額を把握した上で、あなたが遺留分として主張すべき金額を計算して、故人の財産を正しく(=少なくとも遺留分は実現させる形で)取得するお手伝いをさせていただきます。

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