遺留分減殺請求の調停を行い、請求が認められた例
方森山さんは、疎遠となっていた父親が亡くなったが、それを知らされることなく、いつの間にか相続も終わってしまったということで相談に来られました。
当事務所に相談する前に、他の相続人に問い合わせたところ、遺言書があり、森山さんには相続分がなかったので、遺留分減殺請求の調停を行ったところ、請求が認められました。
【相談内容】
疎遠になっていた父が亡くなり、そのことを森山さんは手紙で知らされました。
調べてみると、父の財産は遺言書により、母親と兄が全て相続していました。
森山さんは、遺言書で自分に相続分がない場合であっても、遺留分を請求出来るということを自分で調べて、当事務所に相談に来ました。
母親と兄とはおり合いがよくなかったため、交渉は難航することが予想されました。
【解決内容】
まず、私たちは、当事者間の話し合いにより解決を図ろうと母親及び兄対し内容証明郵便を送り、交渉を開始しましたが、相手からは連絡がありませんでした。
そこで、調停手続により遺留分減殺請求をすることにしましたが、調停手続きにおいても相手が請求には応じない可能性があったので、被相続人の遺産を弁護士法23条に基づく照会を行い、調査すると共に、遺留分減殺請求権を被担保債権として、遺産の一部であった不動産の仮差押えを行いました。
仮差押後、相手からようやく連絡があり、調停手続きで解決を図りたいとの話があり、調停の申し立てを行いました。
調停になった後も、相手はなかなか遺産を開示しませんでした。
また、相手からは特別受益の主張などがありましたが、粘り強く交渉し、森山さんの請求は一部認められ、和解により、調停は終了しました。
調停は時間もかかり、森山さんの請求も全て認められたわけではありませんでしたが、一部でも認められたことで、納得して、事件終了となりました。
遺留分減殺請求権は、相続人に認められた法的権利です。
今回のケースのように、遺言書で他の相続人が全ての遺産を相続する場合であっても、相続人であれば法定相続分の一部である遺留分を請求すれば、原則として相手は応じざるを得ません。
また、遺留分減殺請求には1年間以内に申立を行わなければならないという期間制限があります。
本件では、申立時点では被相続人の死亡から1年が経過しておりましたが、森山さんが自身の遺留分を侵害されていることを知ったのは、遺言書を見た時であるとして、同時点を起点として申立期間を計算することにより、申立てが認められました。
自分にも相続の権利があるはずなのに、何ももらえなかったという場合には、早めに、法律事務所に相談に来ることをお勧めします。